ミクロアース物語 0.03

ミクロマン地球へ

 今から何億年も昔、まだ炎の塊として浮かんでいた地球のはるか3万光年のかなたに、高度な文明を持つ星があった。それがミクロアースで、地球と変わらない自然環境にミクロマンがユートピアを建設して平和に生活をしていた。しかし、突然謎の大爆発を起し銀河系宇宙から消滅してしまった…
 だがミクロマンはたくましい生命力をもっていた。大爆発の時にできた水晶体につつまれた生命維持カプセルの中に生き続けていたのだ。水晶体の核となったミクロマンは大水晶体を中心にできたミクロ星団とともに果てしない暗黒の宇宙をさまよっていたのだった。やがて太陽系の惑星 海王星にさしかかったとき、太陽からうけた光線と強い宇宙線によって、4つの水晶体の中で、4人のミクロマンが蘇ったのだった。彼らはミクロアースが大爆発を起し宇宙の塵となってから、なんと40億年もの間、眠り続け宇宙をさまよっていたのである。4人のミクロマンはお互いにテレパシーを交信して自分たちの生きていることを確認した。M101、M102、M103、M104の4人のミクロマンであった。そして、さらに太陽に近づいたとき、彼らはかってのミクロアースが青白く輝く星であったように、羊毛のようなあつくおおった雲の間に青白く輝く地球を発見したのだった。

 しかし、それもつかの間、突然なにかに引きこまれるのを感じた。ミクロマンの入った4つの水晶体は、地球の引力につかまり、磁力圏(バンアレン帯)に引きこまれた。水晶体は加速度をつけて地球めがけて突入していったのだった。
 水晶体は地球の大気圏に突入し、空気の摩擦によって激しく燃えながら地上へと落下していった。地表にたたきつけられたミクロマン。しかし水晶体のおかげで、カプセルはまったく無傷であった。
 こうして地球におりたったミクロマンは自分たちにとってこの星が新天地になるかどうかを判断するために偵察を始めた。偵察は驚異の連続であった。なんと巨大な星なのだろう。そこに住んでいた人類は彼らの17〜18倍ほども大きく、それに比例して建物も機械も自然もすべてが巨大だったのである。しかし彼らは、この地球の自然環境がミクロアースとあまりにも似ているのと、集めた数々の情報から、この地球上に住むことを決定し、ミクロマンゾーン(ユートピア)を建設することを決定したのだった。

 4人のミクロマンが、あまりにも巨大な地球を、くまなく調査するためにはどうしても乗り物や武器が必要になってきた。そこで彼らは、バンアレン帯に引き込まれて、地球上空1000kmの空間でだ円軌道を描いて回る大水晶体からの光子エネルギーをカプセルに強力にチャージして発射させさらに4人のブレストに反射させた。バリバリビビッ激しい音とともに、空気中の分子が結合されてゆく。まず、スカイローダー、つぎにバルクリフター、最後にスペースバギー…ついにコスモ・カーを作りだしたのだ。また地球にあった機械も使って高性能のメカを作りだしていった。彼らは綿密な計画を立てて、さらに調査を続けた。

分子結合されるスカイローダー

 こうして調査活動を続けるうちに、スカイローダーで調査をしていたM101ジョージが奇妙な情報をもってきた。
 人間の世界には各地に一寸法師、親指姫、コルボックルなど、いわゆるこびとの伝説が数多くあり時として人間とは思えない超能力を使っているものもある…奇妙な情報とはこのことだった。これはひょっとしてミクロマンの仲間だったのではないだろうか?
 ミクロアースが大爆発を起こした時に、彼ら、ミクロマンと同じように水晶核となり、宇宙のあちこちに飛ばされ、さまよい、この地球にも何億年の前から水晶体の中で眠り続けている仲間がいるに違いない。彼らが宇宙をさまよっていた40億年という時間の流れから見たら、地球がまだ、かたまっていないときからミクロマンがいたとしても、決して不思議ではない。地球の創成期、恐竜時代、氷河時代そして現在と地球の進歩とともに眠り続けるミクロマンがいるはずだ。こうしてミクロマンは自分達の仲間が水晶核として世界中に眠っている事を確信して仲間を呼ぶことを決意したのである。
 彼らは自分の蘇った時の状況から、ミクロマンを水晶核から蘇生させる特殊光線“スペクトルMX”を発見した。だが、その光線はある一定の周波数帯にのみ反応するものであった。M104ジョンはその最適周波数を探るため、小規模な実験を日夜くり返す。光線は日本の一部をカバーできる程度の出力にすぎない。その実験の過程、周波数352.453MHzでスペクトルMXを発射した時にそれは起こった。
「…ピピッM115蘇生しました」
やった!反応があった。喜ぶ4人のミクロマンたち。
「ピピッM125蘇生しました。」なんと2人目も蘇った。
 この結果をもとに彼らは計画を立てた。現在建造中のタワー基地を完成させて、スペクトルMXを増幅。基地のテレパネットからさらに大水晶体に反射させて、全世界に送ろうというものであった。
 だが、光線をテレパネットから正確に大水晶体に当てるためには、タワー基地に搭載されたコンピューターでは照準の微調整が困難だった。それを聞いたベンは決心した。
「僕がタワー基地と一体化すれば解決する。僕の頭脳を使ってくれ。僕がM115ということは少なくとも僕の前に同じ身体を持った仲間がいるってことだろ?」
 スペクトルMX光線は、地球上空のバンアレン帯を回る大水晶体に光子エネルギーを365日間蓄積してからでないと発射できず、しかもミクロタイム(1/10秒)0.054秒の短い時間だけであった。水晶体の表面カットの角度が変化すると水晶核に吸収される周波数が異なってくるので多少違ったミクロマンが生まれてくる事もある。またある大きさでなければ、スペクトルMXを吸収しないので、発射された瞬間に同調しなければ生まれない。最初に蘇生した4人のミクロマンは少しの違いと、水晶の熱変化(水晶を熱すると透明から黄色さらに紫色と色が変化する。)が色素の変化となってあらわれたものである。照準の調整はこのように大変デリケートな作業だ。ジョージは苦悩の末に決断した。ベンの頭脳を生体コンピューターとしてタワー基地に組み込んで計画は実行に移された。ベンはタワー基地の頭脳へ……。

352.453メガヘルツ発射、仲間よ蘇れ!!

 いよいよスペクトルMX光線を発射して仲間を呼ぶ時が来た。4人のミクロマンはブレストをタワー基地のメインコンピュータに念力合成させた。スペクトルMX光線発射OK!!タワー基地のオペレーションルームでM125モーガンがスイッチを入れる。グォーン…基地のエンジンと生体コンピューターがうなる。5・4・3・2・1発射!!ついに全世界に向けて光線が発射された。
「ピピッこちらM115、ブレストに反応したものは応答せよ。周波数352.453メガヘルツ…」
数分後、「……ピピッM201蘇生しました」各地から続々と仲間の応答が進む。「M111…M124…」
そして、タワー基地は正式にM115と呼ばれることになったのである。それを見届けたモーガンはベンの意志を継ぎ、仲間を探す旅に出ることを決意する。


解説


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未来浪漫空間 世界に広がるミクロマンの仲間
          


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