ミクロマン豆知識

廃刊となった雑誌『冒険王』に連載された、新宅よしみつ氏の『小さな巨人ミクロマン』のページの端に載っていた情報を紹介します。
註釈を緑字で示します。

1976.2

[ミクロマンの機能]
身長わずか10センチで、ふだんは人間とかわらないが、胸にブレストが装着されると超能力を発揮する。ブレストには集光装置があり、地球上空のバンアレン帯をまわる大水晶体からの光子エネルギーをチャージする。
「ミクロマン豆知識」という題名がついたのは3月号からだが、連載第1回も1本だけだが豆知識のようなことが書かれていた。一般には、breast(ブレスト)は胸という意味になるので、「胸に胸を装着…」という変な表現にも見えるが、ミクロマンにとってブレストとは胴体前面に露出したメカ部分を指す。後に蘇ったミクロマンは、ブレストが身体に内蔵され、つけたり外したりすることがない仲間が多い。集光装置は、集光子装置と呼ぶ方が普通。バン=アレン帯は放射線帯とも呼ばれ、高速の荷電粒子が多量に存在する、地球の磁軸と垂直なドーナツ状の領域である。太陽風の影響が強いときは、太陽の反対側に尾を引いたような形に歪んでいる。


1976.3

大型のものを超小型にすることをオングストローム化という。オングストローム化するためには、ひとりのミクロマンのエネルギーでは非常に危険なので、ロードステーション基地で行う。基地には常にエネルギーが貯えられている。
オングストローム化とは、人体内で活動するときなどにミクロマンを更に小さくすることを指すようだ。ご承知のようにミクロメートルは100万分の1m、1オングストロームは100億分の1mのこと。人間をミクロマンサイズにすることは、ミクロ化という。ロードステーションで使われているアトミニウム(超凝縮光子核)とは何なのかが、この記述から少しは想像できそうだ。その後は新兵器のスパイカーにもオングストローム化の機能が搭載されたらしく、6月号では基地を離れた海底でオングストローム化を行っている。

アクロイヤーはミクロマンの敵で、公害でヘドロの沈殿した汚れた海水の中で誕生したミクロマンの一種だ。ヘドロやPCBに侵され、ある一部機能しか育たぬアクロイヤーは、頭脳も単細胞化され良心機能がほとんどない。


1976.4

スパイヘリとは、いままでの乗り物とはちがって超低速飛行で威力を発揮するヘリコプターだ。これは、速度がおそいので、人間世界をくまなく調査することができる。ミクロマンにとってかかせない偵察マシンだ。

タイタンとは、いままでのミクロマンとちがい、戦闘用のサイボーグでミクロマンの手助けをする。タイタンにはペガサスのほかに、シリウス、ヘラクレスがおり、ドーベルマシンやマグネコンドルと共に活躍する。
土星から来たことに触れておらず、タイタンの設定がまだ固まっていなかった頃の記述ではないだろうか。決して戦闘専用というわけではなく、ゾーン建設にも手を貸しているし、自分の頭脳を持ち、ミクロマンの手助けにはとどまらない活躍をしているのだから。


アトムカノンとは、タイタンの武器の一つで、特殊球体関節によって一瞬にして、タイタンの腕とチェンジする原子砲だ。このアトムカノンに攻撃されると、敵のアクロイヤーは一発でバラバラになって消滅してしまう。 
核兵器を発射するわけではなく、敵を原子(アトム)にまで分解してしまうからアトムカノンというのだということがこれで理解できる。


1976.5

ビームトリプラーUは、従来オレンジミクロマンとよばれていたM104ジョンの乗っていたビームトリプラーをミクロマンスパイマジシャン計画のために改造されたもの。目的はミクロマンのスパイ養成練習機として使用する。
ミクロキットを「U」と呼ぶ慣わしはないが、ミクロマシーンと区別する上で便利なので、今からでも普及させていきたい。

練習機には他にジャイロットUとホットローダーUがある。タイタンと共にたたかうにはスパイマジシャン計画にもとづき訓練を受け能力をのばさねばならない。訓練を終えたミクロマンの腕には能力に応じたリングが装着される。

ベースボールマシン〈スパイボーイ〉は、スパイ訓練を終えたミクロマンのためにエスカルゴを母体に生まれた超能力ロボットだ。ふだんはミクロマンと野球をしているが、単独で戦車やスパイカーに変化するスパイマシンだ。
スパイボーイがロボットであることは外見から想像できるが、商品説明書にもロボットだとは書いてない。そもそも不透明ウインドウに搭乗すれば、まともに操縦はできないのだろうから、スパイボーイはロボットとして自律的に行動する必要がある。しかし、それなら何のための操縦席なのだろうか
そこで思いついたのだが、実を言うとスパイボーイはスパイトレーニング用マシーンなのだ。敢えて視覚を封じ、透視やテレパシーなどの超能力を高めるのがその目的で、レーダーを操りながら三次元ベースボールのゲームを行うという形をとり、楽しみながら訓練をする…というのが、元々の開発コンセプトなのだ。慣れない操縦を強いられるため、その動きは大変コミカルなものに見えることもある。しかし操縦する本人は必死であり、とぼけた表情の顔絵を使って照れを誤魔化しているのだ。


1976.6

人しれずアクロイヤーと戦いつづけていたスパイのプロフェッショナルたち……それがスパイマジシャンリーダーなのだ。現在は、ミクロマン中央情報局リーダーとして、地球の平和を守るために活躍している。

シースパイダーは、海上および海中の情報収集マシンだ。海上では98ノット、海中では50ノットのスピードがでる。超強大な水圧に耐えられるが空は飛べない。全てのスパイマシンは、まったく違うものに変化できる特徴を持つ。

マリンコンドルは両翼のハイドロエンジンで海上を100ノット、空中を時速450キロで飛行する。このほかにレーシングウルフ、ドラグタイガー、ジェットミラーといったスパイマシンが現在開発されつつある。


1976.7

スパイマジシャンとは、ひとしれずアクロイヤーと戦いつづけていたスパイのプロフェッショナルで、現在はミクロマン中央情報局のリーダーとして、世界の平和のために戦い活躍している。

131(ディック)…スパイ学の権威で緻密な作戦をたてる。M132(ダン)…暗号の作成や解読に能力を発揮する。M133(ダニー)…射撃や爆破の名手。M134(デビット)…盗聴をやらせたら右にでるものがいない。

141(ヘンリー)…軍事科学に強く武器なども設計する。M142(ハドソン)…アクロイヤーにくわしい社会学者。M143(ホームズ)…医学博士で毒物の扱い方などを指導。M144(ハワード)…レインジャー訓練の指揮者。


1976.8

ロボットマンは全身メカの超性能マシンだ。たとえば目はノクトアイといって光子波を利用し、まっ暗な所でもみえるし、耳はメカイヤーといって10キロ四方の音をきくことができる。動力源は空気中の光子エネルギーだ。

ロボットマンは、その用途に応じてドリル戦車やブルドーザーに変化することができる。ブルドーザーに変化しミクロロボットTとともにミクロゾーン建設のために働いたり、ドリル戦車で地下資源の開発をおこなうのだ。
ミクロゾーン → ミクロマンゾーン

ロボットマンは強力な武器をもっているが、ほかのミクロマンのマシンカーやコスモカーとジョイント合体することもできる。きみたちもアクロイヤーと戦うため、ロボットマンをどのように強化すればいいか考えよう。


1976.9

スパイマジシャンたちは新基地の建設にいそがしい。ミクロマンとタイタンはロボットマンをパワーアップし、タワー基地を大改造している。タワー基地にアトムカノンを装備するだけでもすごいが、地底円盤改造も強力戦力だ。
既にタワー基地、指令基地、ロードステーション基地は完成しており、新基地とは、ロードステーション地下への増設や、11月号で明かされる移動基地の建造を指すのではないか。地下の基地は、後にアースステーション基地と呼ばれることになり、プレーステーションゲームに登場する。増強中のMCIA(Microman Central Intelligence Agency=ミクロマン中央情報局)の入る構造物がまだないので、新基地の建設は確かに急務だ。

ドリル戦車のドリルをビームトリプラーのエネルギーアームでミクロ円盤に装備すると地底へ進める。ドリルが強力に穴をおしひろげるため円盤も通過しやすい。だがエネルギーの大半をドリルにつかうため攻撃力にとぼしい。
本誌の漫画では、ブルーUFOから前輪をはずしてエネルギーアームとドリルを取り付けたマシンが活躍している。機首が尖ってデルタ機のようなシルエットとなり、なかなか見映えのする格好だ。エネルギーアームは、透明な初代ビームトリプラーのものか、ビームトリープラーUの白いものかは不明だが、試しに組み立ててみると面白いかもしれない。

ミクロ円盤地底用改良型

マシンカー、コスモカー、メカコスモなど、すべてのミクロマシンのパーツは合体できるように設計されている。つまり、その場に応じたパーツを装備できるのだ。ロボットマンがドリル戦車やブルドーザーと合体するのは有名。
マシンカー → マシン・カー、 コスモカー → コスモ・カー、 メカコスモ → メカ・コスモ


1976.10

アクロイヤーが突然変異をおこし、脳細胞の発達したアクロイヤーVが誕生した。みずからをアクロイヤー軍団の総統と名のる。破壊活動をするしか能がない単純なアクロイヤーとちがい、手のこんだ方法でミクロマンに挑む。

アクロイヤーV・総統は部下に、タコ、カニ、エイの形をしたロボットをしたがえている。これらは総統の命令のままに活動し、武器である手足はすべてのアクロイヤーと合体できる。アクロイヤーがさらに力強くなったのだ。

アクロイヤー軍団に対抗するために、ミクロマンたちはタイタンと合体する陸上用と空中用の2種類の乗り物の開発をすすめている。これらと合体するタイタンは、特別訓練を行なっているがさらに強化されるわけだ。


1976.11

スパイマジシャンは、現在ミクロマンのロードステーション基地を使って活動しているが、ロボットマン・パワーアップ大作戦の本部として機能がパンク寸前のため、新たに専用の移動基地の建設にとりかかっている。
復刻版ミクロマンでロボットマン強化作戦セットが発売され、その経緯が明らかになったが、アクロイヤーUとの空中戦における反応の遅れを改善するというのがその趣旨であった。また、ロボタンクやブルドリラーに変化するなど、武装面でも強化された。

タイタンが強化された。マグネモ(マグネットパワー)で合体してレーシングカーとなる、陸上活動用のレーシングタイタン2と、宇宙活動用に合体してUFOとなるUFOタイタン2の2種類の新タイプが登場した。
T401らが強化されてタイタン2になったとも受け取れるが、ミクロマンブックのミクロマン人名辞典ではそれぞれに人格が与えられており、別の個体と見なした方がよさそうだ。新たに蘇生したタイタンに対しては、従来よりも戦闘に適した改造や訓練を施すようになったと解釈するのが妥当だろう。

アクロイヤー総統のひきいる3匹の子分ロボットの名前がわかった。タコ型のものは《タコロイヤー》、エイ型のものを《エイロイヤー》、カニ型のものを《カニロイヤー》という。これらは、すごいスピードで走る能力をもつ。


1976.12

スパイマジシャンたちは、さらにくわしいアクロイヤー軍団の情報をキャッチした。総統との合体変化や情報収集に活躍する超能力サイボーグだ。頭には総統の人工培養脳がはいっており、自ら細胞変化で変身できるのだ。

タコロイヤーは主に海中での情報収集をする。口から煙幕ガスを発射できる。カニロイヤーは地上や地中で活躍する。鋼鉄も切るハサミやシャベルを装備している。エイロイヤーは目から破壊光線を発射して空中で活躍する。

レーシングタイタンに変化するのは、わずか0.2秒で完成し、時速350キロまでスピードをあげることができる。主に緊急出動や連絡用に使用され、ジャンプ装置によって10数メートルの高さまでジャンプが可能である。


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