ミクロアース物語 -0.02


高度文明の星ミクロアース

 ミクロアースでは、あらゆる科学が発達し、高度な文明社会を築いていた。光子エネルギーの開発により、ミクロアースで必要なエネルギーはすべてミクロソルから吸収し、無公害エネルギーとして使用されている。生産もほとんどがオートメーションで、交通網も発達し、ミクロアースのほとんどに超近代都市が建設されている。しかし自然の破壊はなく、地表の50%の自然が確保されている。人々はこのような理想的な社会環境の中で生活を送っているのだ。


 ミクロアースの交通の発達はすばらしい。一般道路にはビーコン帯(コース制御システム)がもうけられている。ビーコン帯からはずれると自動的に警告波が送られ、交通事故を未然に防ぐ、また空間にも電磁スクリーンのビーコン帯がある。
 都市間には、高速度モノレールが活躍、音速に近いスピードで人員や貨物の輸送にあたっている。都市内にはサブウェイ(地下鉄)がある。これは一種のリニアモーターカーでチューブレール内を反重力装置により、すべるように走る。
 小型の乗り物は、反重力装置つきのスペースカーで、重力コントロールシステムにより車体を浮上させて走る。都市または都市近郊での市民の足となっている。そのほか、ハイウェイ用スポーツスペイサー、運送用のトレイサーなどがある。


 超近代建築の発達により建設機器の開発も進んでいる。空中荷役用のスカイコンテナー、超高層作業用ロボイドなど、ほとんどのワーカー(作業車)がリモートコントロールなので超高層建築が容易になり、事故もほとんどおきない。また、重力場発生装置と、超硬度軽量金属ハードライタルにより、クレーンワーカー(クレーン車)の性能も飛躍的に向上した。スペースリフト(起重機)、ロードダンパー(ダンプカー)も、フライトアーム(小型運搬機)なども建設作業に活躍する。
 海洋交通においても発達はめざましい。海上では高速の大型水中翼船やハイドロジェットエンジンの小型船舶、海中ではマリンタンクと呼ばれる超大型潜水輸送船が活躍。また小型潜水艇も陸上と同じように多くの目的で活躍している。


 ミクロアースの宇宙開発は、ミクロソル系の惑星に基地を建設するまでに進んでいる。超光速のスペースシャトル(宇宙連絡船)は光を1本に収束して放射し、その反動で推進されるロケットで、光速の2倍のスピードが得られる。この超光子ロケットの開発により、惑星間の航行が容易になり、惑星での資源開発が活発になった。宇宙空間には静止ステーションがあり、通信衛星、気象衛星をコントロールして宇宙空間を広範囲に調査しデータを集めている。
 惑星上では、光子力電池を内蔵したスペースローバー(惑星建設車)により、着々と基地の建設がすすめられる。超光子ロケットや探査車、実験用器材は各ユニットで運ばれ、スペースローバーにより短時間で組み立てられ使用される。33個ある衛星には、宇宙通信基地がもうけられ、巨大な電波望遠鏡を使って、宇宙を飛び交う宇宙人の電波をキャッチしようとする計画がすすめられている。ここでも各種スペースローバーが活躍し、データが集められている。
 惑星上では、資源開発用のスペースファクトリー(工場)、スペースファーム(ミクロソルの光子波をコントロールした宇宙農場)などが建設され、ミクロアースへの、資源や食料の安定供給がなされている。スペースファクトリー、スペースファームに働く人間はわずかで、ほとんどがオートメーション化されている。
 ミクロアースの人々は無限の宇宙に限りなく挑戦をしているのである。


ミクロマン科学を結集
宇宙科学局

 ミクロアースのブレーン(頭脳)と呼ばれているのが、この宇宙科学局である。ミクロアースでは、すべてが中央管理システムとなっているが、エネルギー、食料資源、交通、宇宙開発、防衛などの主要機関の中枢がすべてここにある。そしてミクロアースに関するデータはすべて宇宙科学局内の情報センターに集められ、研究、開発がすすめられている。
 局内は、工業、農業、交通(道路、空、海)、エネルギー、宇宙開発などの機関にわかれ、それぞれ、研究開発部門をもっている。そのほかにこれらの機関を総轄する中央情報センターがある。各部門のデータは末端コンピューターから、情報センターにあるメインコンピューターに送られ、ほかの部門との関連を計算したうえで、答えがだされる。コンピューターはすべての人々の生活が優先されるようにプログラムされているので非人間的な解答はでてこない。
 宇宙科学局には、局長をふくむ100人の幹部と、科学者や技術者などが働いており、その数は10000人以上で、それぞれの分野で活躍している。ここに入るにはきびしいテストに合格しなければならない。まさにミクロアースの頭脳なのだ。

 宇宙科学局のビッグコンピューターは、ミクロアースすべてを管制するメインコンピューターだ。ミクロアースのあらゆる情報が送られ、処理されている。しかし、このコンピューターはあくまで集中管理のための道具でしかない。コンピューターがはじきだした解答を最終決定するのは、あくまでも人間であり、宇宙科学局の最高幹部100名によりイエスかノーかが確定される。だからSFによくあるコンピューターの人間支配は決してないし、100人の決定が必要なので、ビッグコンピューターを使用した独裁もまたありえない。




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