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第2部 第1話  ■冒険王1983年4月号■

〈あらすじ〉

地球にちかづく一せきのうちゅう船があった。
乗員は一人だけで、コンピューターは大気圏突入速度が速すぎることを警告した。
しかし船が大きすぎて減速できず、モジュールに分解して落下していった。

タカシが父の操縦する軽飛行機で東京郊外を遊覧飛行していると、光の雨が降ってきて機体が揺れだし、強い衝撃を感じて父も妹も気絶してしまった。
もうだめだと思った時、小さな宇宙人のカプセルに主翼を支えられて、飛行機はちゃんととぶようになった。

その晩、タカシは二階で宇宙人と二人きりになった。
サラムはパソコンのキーボードを押したりテレパシーを使ったりして、自分の名前やミクロアースから来たいきさつを語りはじめた。
タカシのカセットを使ってモジュールの探査機を作ることにした時には、普通にことばで話すようになった。

その時、宿題をしていると思った母親が夜食を運んできた。
サラムは人形になりすましたが、妹のユカがさわりだしてタカシもあせってしまった。

2人は軽飛行機が墜落しかけた場所にやってきた。
タカシが「ミクロチェンジ!!」と叫ぶと3つのマイクロカセットがコンドル、ジャガー、ロボに変形し、ミクロム2000のモジュールを回収し始めた。
そこに強力な光線がタカシを襲った。
ジャガーとコンドルのおかげでよけられたものの、攻撃は続いた。
地球をねらうアクロイヤーが現れたのだった。

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〈ミクロチェンジ編第1話解説〉

第2部の作者は、まんが/古城武司(原案/加藤良信)に変わりました。
まずはどうしても目についてしまう不満から。
池原版に比べてミクロマンの絵はかなり改善されていると思いますが、人物は口を開けて描かれていることが多く、表情の豊かさにおいては見劣りを感じます。
それにサラムがあまりかっこよくないのがちょっと気にかかります。

漫画とは別に、「ミクロマン読者クラブ」という、みぞろぎ孝カットの楽しいページも始まりました。
カラーページでは高橋秀勝によるアニメ風のイラストが掲載され、ミクロチェンジシリーズのカタログにも小さく載っています。
それによると、タカシの本名は紺野たかしといい、小学3年生だそうです。

タカシはパソコン(マイコンとも呼ばれた)を持っています。
すでに昭和56年に発売されたNECのPC-9800シリーズが、研究開発からビジネス、そしてホビーまで幅広いユーザーを獲得していたという時期です。
とはいえ小学3年生の学習用として、パソコンはあまりに高価といった感じがします。
父親が軽飛行機を操縦することなどから見ても、裕福な家庭に恵まれていたようです。

タカシの容姿はあきらくんに似ています。
古城版のタカシと高橋版の紺野たかしではかなり印象が変わるのですが、これが同一人物だというなら、片貝あきらと紺野たかしは瓜二つだと言ってもかまわないでしょう。
違うのはジージャンの前を全部あけ、襟を倒し、袖をまくっていることと色だけです。
服の明らかに違う森藤版のたかしと古城版のタカシの方が別人みたいです。

マザーコスモスの絵が出てくるのですが、池原版を踏襲しているようです。
アクロイヤーやアクロサタンの描き込みは池原版よりもっと細かいです。
ミクロマンはリベットを消すなど適切にデフォルメしていますが、池原版と違ってボディのモールドが玩具に忠実に描かれています。
欲を言うなら、腰・大腿・腕のモールドもしっかり描いてほしかったです。
サラムのカプセルは玩具以上にディテールアップされています。
模型ファンなら改造して再現する題材にもってこいです。

物語は中途半端なまま次回へつづきますが、悪役まで一通り登場しており、基本設定の紹介という初回としての使命を一応果たした形となっています。
もっと明らかにしてほしかったのは、軽飛行機を巻き込んで落下した事件のことです。
スーパーコンピューターミクロム2000が大気圏侵入速度を誤るというのはどういうことでしょう。
異次元からの妨害があったのかもしれませんがそのような描写はなく、うっかりで済まされています。
サラムはミクロム2000をバラバラに落下させ、タカシの家族まで危ない目に遭わせてしまったことを重く受け止めなくてはいけないでしょう。
軽飛行機を助けたのは英雄的行動ではなく自分の失敗を繕ったにすぎません。
ウルトラマンがハヤタを巻き添えにした償いに地球人の味方になったのと似ています。
「ありがとう」とも「すまない」とも言いにくい状況なのはわかりますが、事故の責任についてはっきりさせなかったのはすっきりしませんでした。

第2部の設定は悪くありません。
タカシはサラムと出会ったことにより、秘密の基地、忠実なしもべなど、少年たちが憧れるものを全て持つことになります。
バビル2世と比べても引けを取らない構図です。
コンピューターも持っていますからね。
その上、かわいい妹も持っているのはちょっと現代的かもしれません。
名作になる要素を充分に備えて、次回から本格的な戦闘に入ります。


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