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 ゴムキャタピラを自作せよ 2

公開 令和5年2月26日

ロボットマンなどの傷んだゴムキャタピラを直す方法の探究を続けながら、αH研究所ではロボットマンのドリル戦車セットをペーパークラフトで作ることにも取り組みました。その過程で磨いた技術を適用することにより、ゴムキャタピラの新たな修繕方法にいくつも出会ったので紹介します。


6.スクリューボンバー

タカラがトミーと合併する前に出した格闘ゲーム玩具「スクリューボンバー」の動力ベルトが、ロボットマンのキャタピラに使えることをSNSで知りました。早速スクリューボンバーの不動品を格安で入手した所、ドリル戦車セットDXの履帯としてピッタリでした。走行性能も大変優れています。そしてロボットマンに装着すると、純正のキャタピラと完璧に置き換わりました。他のどの製品よりもピッタリです。明らかな違いと言えば、スクリューボンバーの方が肉厚だということです。ロボットマン用の厚み1.5mmに対してスクリューボンバー用は3mmもあって丈夫です。これ以上厚かったら各部と干渉して動かなかったでしょう。また、復刻版ロボットマンのような材質の急速劣化ということは起きていません。ミクロマンの復刻に関わったタカラのスタッフが、ロボットマンの情報をフィードバックして作ったとしか考えられません。


左:復刻版ロボットマンのキャタピラ  右:スクリューボンバーの動力ベルト

このスクリューボンバーの存在について、不覚にも発売当時は全く知りませんでした。何年の製品なのか、関連商品はあるのかもよく分かりません。不動品ゆえに格安だったわけですが、どこも傷んでいないのになぜ動かないのかも不明です。古物市場にはまだ散見されますが、潤沢というわけではありません。ほしい人は入手できるうちに入手することをお勧めします。


7.タミヤ製クローラー

タミヤから発売されている楽しい工作シリーズの「トラック&ホイールセット」や「32mm径スプロケット&クローラーセット」に含まれているキャタピラは、ドリル戦車セットDXに装着すると高い走行性能を発揮します。ロボットマンにも装着できればいいのですが、厚すぎるために引っかかって回りません。ディスプレイ専用と割り切ってもいいですが、少し加工すれば動くようになります。

クローラーベルトは29コマで組み立てるので、一番長い30コマのものを加工して使います。厚さが4.5mmもあるので、裏面にあるZ字形の突起を全て切り取って3mmまで厚さを落とします。
次に、一端にあるコマにある長方形や丸い穴を、その隣のコマに作ってやります。裏側を向け、端のコマの切り込みを隣のコマにも作ってやります。
本来の組み立て方の通りに、他端の出っ張りを反対側の窪みに差し込んで輪にします。
幅が17mmもあるので、両方の縁をはさみで0.5mmずつ切り取ります。その他、輪の継ぎ目などにある不規則な出っ張りは全て切り落とし、ロボットマンの背中で部品が干渉しないようにして取り付けます。
それでもまだ復刻版ロボットマンでは背中とキャタピラ表面が引っかかります。ただし昭和50年代のロボットマンでは、キャタピラが少し背中から離れているので問題ありません。復刻版ロボットマンでもキャタピラがわずかでも開くように、キャタピラにプラ板片を両面テープで貼り付けておきます。

武骨なモールドを持ったこのキャタピラはすごくかっこいいです。ただし、ちょっとした引っかかりですぐ止まってしまうキャタピラの走行性能は、見かけほど高くありません。


8.キャタピラのペーパークラフト

ドリル戦車DXペーパークラフトを作っていたら、履帯もペーパークラフトにできそうに思えてきたので作ってみました。
黒の色画用紙に鉛筆で線を引き、使い古しのボールペンで折り曲げ線に圧線を引き、ナイフで切り抜きます。パソコンとプリンターで直接印字できるといいのですが、黒い紙には無理なので、定規を当てる型紙くらいです。幅2ミリの簾状部分は、接着しながら折り曲げてキャタピラの突起部分にします。ゴム片を接着するのよりも剥がれにくく、形も整いやすいです。ベルト部分は色画用紙1枚分の厚さで充分です。両端をつないで輪にするとき、現物合わせで丁度いい張り具合にします。きつすぎても弱すぎても回らず、ゴム製よりも最適な輪の長さの範囲が狭いです。つや消し黒の見た目はゴムとそっくりになりました。元の履帯の幅は11mmですが手作りではもっと広い方が見栄えがよく、最大で14mmにすることもできます。

   

ロボットマンのキャタピラをドリル戦車DXにも流用するため、落としどころとして幅12.5mmで作ることにしました。ロボットマンの背中でスムーズに動きます。ゴムよりも滑りやすいので、ボンドGクリヤーにペイントうすめ液を混ぜて塗ってゴムの質感を与えようとしましたが、2年以上経った今では完全に硬化してツルツルになりました。埃が付きやすくなるのでやめた方がいいです。急にどこかが引っかかって止まることもありましたが、丁寧に調べると大したことない場合が多いです。対策としてベルトが真鍮のギヤに食い込まないよう下部にケント紙を巻いたりしてみましたが、ギヤの前後にある青い柱が既に役立っており、関係ありません。どうやら真鍮のピニオンと転輪内のクラウンギヤとの隙間が広がりすぎるとギヤが噛んで止まるようです。元々はベルトの張力が過剰だとそうなりやすいようです。

紙だと好きな色で作ることもできます。ニューカラーRぎんいろでベルトを作り、同じ紙の6枚重ねの上に銀色工作用紙を貼り付けたもので突起を作りました。黒くないのでプリンターで印字ができ、木工ボンドで組み立てられます。


9.片面段ボール

これもペーパークラフトの一つです。ミクロマン開発者の小川岩吉氏を交えたオンラインの会合でのことですが、上のペーパークラフトによる履帯を装着したドリル戦車セットDXの試作品を小川氏に見せた所、「段ボールでよく作ったな」というお褒めの言葉をいただいたのがきっかけです。キャタピラが片面段ボールに見えたんでしょう。そう言えば私にも昔から段ボールがキャタピラに見えることがありました。小川氏もペーパークラフトなら段ボールをキャタピラに使うのが自然だと思ったのかも知れません。そのセンスを信じて、キャタピラとして使える段ボールを探しました。するとヒサゴから「リップルボード」というカラー片面段ボールが発売されているのが見つかりました。大中小のサイズがあり、そのうち「中」のリップルボードが厚さ1.5mm、突起のピッチ3mmでロボットマンに最適でした。色も豊富で、黒はゴムのように見えるほか、銀ピカのキャタピラを作ることもできます。加工の仕方はドリル戦車セットDXの組み立て説明書にも載せましたが、リップルボードを使った簡易的な履帯の作り方を次に示します。

幅12.5mmのリップルボード中黒を長さ185mmに切ります。これは波形61と3分の2に相当します。一端の波形1と3分の2を表と裏に剥がしてください。
剥がした部分の内部に木工ボンドをつけ、他端とつないで輪にします。


輪の長さが少し狂っただけで張力が大きく変化し、キャタピラの動作に影響があるのは前のペーパークラフトと同じです。しかしうまく行けば僅か10分程でキャタピラがきれいに仕上がってしまいます。リップルボードは手軽にキャタピラが作れるので、どなたにもお勧めできる材料です。




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